-四物湯(しもつとう)-


四物湯(しもつとう)の効能

四物湯は女性特有の疾患向けの処方で、比較的体力がない人で、皮膚が乾燥して色つやが悪く、貧血ぎみで、手足の冷え、下半身に出血がある血の道症に用いますが、胃腸障害のない人に使用します。月経異常、不妊症、産前産後、更年期障害、冷え症などの他、乾燥性の皮膚病、しもやけなどにも応用します。四物湯は婦人病の聖薬と言われてきました。男性は高血圧症に用いられます。胃腸障害がない女性の更年期障害、月経不順、冷え症などに用いられます。血行をよくする効果があります。皮膚がカサついて色つやが悪い、手足の冷え、貧血、目のかすみがある場合に選ばれます。


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適応される主な症状

配合生薬

配合生薬の効能

当帰(とうき)

婦人病の妙薬として、漢方でひんぱんに処方される重要生薬の一つです。漢方では古来、駆お血(血流停滞の改善)、強壮、鎮痛、鎮静薬として、貧血、腰痛、身体疼痛、生理痛生理不順、その他更年期障害に適用されています。

茎葉の乾燥品は、ひびやしもやけ、肌荒れなどに薬湯料として利用されています。鎮静作用はリグスチライド、ブチリデンフタライド、セダン酸ラクトン、サフロールなどの精油成分によります。また有効成分アセチレン系のファルカリンジオールに鎮痛作用があります。

駆お血効果を裏付ける成分として、血液凝固阻害作用を示すアデノシンが豊富に含まれています。また、アラビノガラクタンなどの多糖体に免疫活性作用や抗腫瘍作用が認められ、抗ガン剤としての期待も、もたれています。

川きゅう(せんきゅう)

川きゅうには補血、強壮、鎮痛、鎮静があります。漢方では貧血、冷え性、生理痛生理不順など婦人科の各種疾患に利用されています。

有効成分のリグスチライドなどのフタライド類に筋弛緩作用や血小板凝集阻害作用が有ります。またクニジリットには、免疫活性作用が認められています。

古い医学書には性病による各種皮膚疾患、化膿性のできもの、疥癬(かいせん)などを治すと記載されています。

芍薬(しゃくやく)

芍薬は漢方処方で最もよく配合される生薬の一つで、主として筋肉の硬直、腹痛、腹部膨満感、頭痛、血滞などに広く処方されています。

主成分のモノテルペン配糖体ペオニフロリンには鎮痛、鎮静作用の他、末梢血管拡張、血流増加促進作用、抗アレルギー、ストレス性潰瘍の抑制、記憶学習障害改善、血小板凝集抑制などの作用が有ります。その他、非糖体ペオニフロリゲノンには筋弛緩作用が認められています。

地黄(じおう)

地黄は漢方治療で、糖尿病に用いられる処方の一つ八味地黄丸(はちみじおうがん)の主構成生薬です。地黄にはその調製法により鮮地黄(せんじおう)、乾地黄(かんじおう)、熟地黄(じゆくじおう)があります。

乾地黄には熱を冷ます作用と血糖降下作用がありますが、虚弱体質の方には不向きです。乾地黄の血糖降下作用はイリドイド配糖体のレーマンノサイド類によるものです、その他、乾地黄エキスには血圧を下げる作用が認められています。

鮮地黄には止血や通経作用があり、熟地黄エキスには血液増加作用や強壮効果があります。

漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用

更年期障害(こうねんきしょうがい)に処方されるその他の漢方薬

実証

中間証

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
    お血のある女性の更年期障害や婦人科疾患に用いられます。血色不良、下腹部痛、足の冷え、のぼせ、肩こ り、頭痛、イライラなどがある場合に効果があります。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
    更年期障害で、もっとも多く処方されるものです。女性の更年期障害、月経不順・月経困難症、自律神経失 調症などに用いられます。疲れやすい、不安、不眠、イライラ、頭痛、のぼせ、肩こり、便秘、冷え症など 、さまざまな症状に対応しています。
  • 女神散(にょしんさん)
    女性の更年期障害、月経不順、産前産後の神経症などに用いられます。のぼせ、めまい、みぞおちのつかえ 、胃もたれなど、さまざまな症状やはっきりしない不決感などに対応しています。とくにのぼせやほてり、 めまいをともなうときに有効です。
  • 温清飲(うんせいいん)
    女性の更年期障害、月経不順、血の道症などに用いられます。目標症状は不安、のぼせ、皮膚の乾き、出血 傾向などです。
  • 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
    女性の自律神経失調症、神経症などに用いられます。悲観的な言動、興奮、不安、不眠などが目立つときに 選ばれます。
  • 五積散(ごしゃくさん)
    女性の更年期障害、神経痛、冷え症などに用いられます。胃腸が弱く、冷えると腰、関節、下腹部、足が痛 む、疲れやすいなどの症状があるときに選ばれます。
  • 川きゅう茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
    女性にみられるかぜ初期の頭痛や、突発性の頭痛に用いられます。頭痛のほか、めまい、寒け、発熱など、 典型的なかぜ症状にも有効です。

虚証

  • 温経湯(うんけいとう)
    女性の更年期障害、月経不順・月経困難などに用いられます。口の渇き、下腹部の冷えと痛み、おりもの、 下痢、頭痛、腰痛、肩こりなどがあるときに効果的です。
  • きゅう帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
    女性の更年期障害、月経不順、産後の低下した体力の改善などに用いられます。食欲不振、下痢、便秘、腹 痛、頭痛、めまい、のぼせなど、さまざまな症状に対応しています。
  • 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
    女性の更年期障害、神経症、不眠症、心臓神経症などに用いられます。やせ型で血色不良、冷える、口が渇 く、動悸や息切れなどの症状があるときに有効です。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
    更年期障害、貧血、月経不順などに用いられます。足腰の冷え、貧血、疲労感、血色不良、下腹部痛、頭重 感、肩こりなどがある場合に効果的です。
  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
    胃腸が弱く、冷え症がある女性で、更年期障害の症状のなかでも頭痛、めまいが強い人に用いられます。そ のほか、肩こり、頭重感、吐き気、食後の手足のだるさにも有効です。
  • 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
    女性の肥満症、関節痛、多汗症、むくみなどに用いられます。水ぶとりで色白、むくみやすく、疲れやすい 、尿量減少などの症状があるときに選ばれます
  • 抑肝散(よくかんさん)
    女性の神経症、不眠症、などに用いられます。神経が過敏で興奮しやすい、怒りっぽい、まぶた や顔の筋肉がけいれんするなどの症状がみられるときに有効です。
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
    更年期障害の症状のなかでも、立ちくらみやめまいの強い人に用いられます。そのほか、動悸、のぼせ、尿 量減少などがあるときに効果があります。

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漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。

「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。

  • 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
  • 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
  • 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します 。

「証」の判定は証の自己判定テストご利用ください。


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