-川きゅう茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)-


川きゅう茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)の効能

体力に関わらず、広く使用できます。川きゅう茶調散は、主に頭痛に用いられ、昔から特に女性の常習性頭痛の薬として有名です。その他、風邪、更年期障害、血の道症にも応用します。女性にみられるかぜ初期の頭痛や、突発性の頭痛に用いられます。頭痛のほか、めまい、寒け、発熱など、典型的なかぜ症状にも有効です。


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適応される主な症状

配合生薬

配合生薬の効能

香附子(こうぶし)

香附子は主に生理痛、生理不順に効果があります。これは有効ン成分セスキテルペニイド、ことにαーシペロンの鎮痛作用、子宮弛緩作用によります。

また、慢性胃炎、十二指腸潰瘍、神経性胃炎などにも広く利用されますが、やはりαーシペロンに炎症物質のプロズダグランジン生合成阻害作用があり抗炎症効果を現すためです。

川きゅう(せんきゅう)

川きゅうには補血、強壮、鎮痛、鎮静があります。漢方では貧血、冷え性、生理痛生理不順など婦人科の各種疾患に利用されています。

有効成分のリグスチライドなどのフタライド類に筋弛緩作用や血小板凝集阻害作用が有ります。またクニジリットには、免疫活性作用が認められています。

古い医学書には性病による各種皮膚疾患、化膿性のできもの、疥癬(かいせん)などを治すと記載されています。

荊芥(けいがい)

荊芥には、発汗・解熱作用、消炎作用、止血作があります。単独で使うことは稀で、いろんな漢方製剤に配合されます。適応症状は、感冒や頭痛、鼻炎、扁桃炎、中耳炎、湿疹、慢性皮膚炎、アトピー性皮膚炎などで広く用いられています。

荊芥の場合は他の生薬との配合によって、全体としての薬効を高める生薬といえます。有効成分は精油のメントン、リモネン、プレゴンなどやフラボノイド類も検出されています。

中国では、カゼで熱があり喉が痛いとき、剤芥を煎じて飲む民間療法が普及しています。

薄荷(はっか)

薄荷には、芳香性健胃、解熱、発汗作用があります。漢方として芳香性の矯味矯臭、駆風、整腸薬とするほか、メントールの鎮痛鎮痒作用を利用してハツプ剤などの外用薬に使います。

薄荷には精油が1.5~4%含まれています。主成分のメントールは70~90%と多く、辛味も強いです。

民間療法としては頭痛のとき薄荷を噛んだり、漆にかぶれたとき薄荷を煎じて患部を洗ったりしました。このほか歯痛や筋肉痛に外用したり、茎と葉を布に詰めこんで風呂に入れると補温性の浴剤となって冷え症に効きます。

白し(びゃくし)

白しには、鎮静、鎮痛、排膿、通経、止血、抗菌作用などがあります。漢方では、解熱鎮痛、解毒、俳膿などを目標に処方されます。

主成分は、フロクマリン類のインペラトリンやフェロプテリン、ビャクアンゲリシンなどがあります。

白しエキスには、血圧上昇や中枢興奮作用などがあり、フロクマリン類には脂肪分解促進作用や脂肪生成阻害作用、発がん抑制作用などがあります。

防風(ぼうふう)

防風には、発汗、解熱、鎮痛、鎮痙作用があります。 漢方薬で、皮膚疾患薬、消炎俳膿薬、鎮痛薬とみなされる処方に配合され、発汗、解熱、鎮痙などを目標に、感冒による関節痛や頭痛などに使用します。

有効成分は、クマリンやクロモン誘導体、サポシニコバンA~Cなどです。

クマリンには抗ヒスタミン作用やカルシウム拮抗作用、血液凝集抑制作用、発がん抑制作用があり、防風エキスでは、ラットの実験で関節炎を抑制する作用が確認されています。

羌活(きょうかつ)

羌活には、解熱、発汗、鎮痛、鎮痙作用、新陳代謝活性などがあります。漢方薬として頭痛、関節痛、リウマチ、身体疼痛、身体不随、新陳代謝活性薬などを目的に使用します。

薬効成分として、ノトプテロールやイソインペラトリン、ベルガプテンなどを含んでいます。ノトプテロールには抗炎症、血管透過性亢進抑制作用(浮腫、胸水、腹水の防止作用)などがあります。

使用上の注意は、用量が多すぎると嘔吐を生じやすいことです。

甘草(かんぞう)

甘草は漢方治療で緩和、解毒を目的として、いろいろな症状に応用されますが、主として去痰、鎮咳、鎮痛、鎮痙、消炎などです。

有効成分のグリチルリチンには、痰を薄めて排除する作用があり、体内で分解するとグリチルレチン酸となって咳を止めます。

その他、グリチルリチンには多種多様の薬理効果が有り、消炎、抗潰瘍、抗アレルギー作用の他、免疫活性や、肝細胞膜の安定化、肝保護作用、肝障害抑制作用などが明らかにされています。

有効成分イソリクイリチンおよびイソリクイリチゲニンは糖尿病合併症の眼病治療薬として、また胃酸分泌抑制作用もあり胃潰瘍の治療薬として期待されています。

甘草はあまり長期服用しますと、低カリウム血症、血圧上昇、浮腫、体重増加などの副作用が現れることがあるので、注意を要します。

漢方薬の使用上の注意

漢方薬の副作用

更年期障害(こうねんきしょうがい)に処方されるその他の漢方薬

実証

中間証

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
    お血のある女性の更年期障害や婦人科疾患に用いられます。血色不良、下腹部痛、足の冷え、のぼせ、肩こ り、頭痛、イライラなどがある場合に効果があります。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)
    更年期障害で、もっとも多く処方されるものです。女性の更年期障害、月経不順・月経困難症、自律神経失 調症などに用いられます。疲れやすい、不安、不眠、イライラ、頭痛、のぼせ、肩こり、便秘、冷え症など 、さまざまな症状に対応しています。
  • 女神散(にょしんさん)
    女性の更年期障害、月経不順、産前産後の神経症などに用いられます。のぼせ、めまい、みぞおちのつかえ 、胃もたれなど、さまざまな症状やはっきりしない不決感などに対応しています。とくにのぼせやほてり、 めまいをともなうときに有効です。
  • 温清飲(うんせいいん)
    女性の更年期障害、月経不順、血の道症などに用いられます。目標症状は不安、のぼせ、皮膚の乾き、出血 傾向などです。
  • 甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)
    女性の自律神経失調症、神経症などに用いられます。悲観的な言動、興奮、不安、不眠などが目立つときに 選ばれます。
  • 五積散(ごしゃくさん)
    女性の更年期障害、神経痛、冷え症などに用いられます。胃腸が弱く、冷えると腰、関節、下腹部、足が痛 む、疲れやすいなどの症状があるときに選ばれます。

虚証

  • 温経湯(うんけいとう)
    女性の更年期障害、月経不順・月経困難などに用いられます。口の渇き、下腹部の冷えと痛み、おりもの、 下痢、頭痛、腰痛、肩こりなどがあるときに効果的です。
  • きゅう帰調血飲(きゅうきちょうけついん)
    女性の更年期障害、月経不順、産後の低下した体力の改善などに用いられます。食欲不振、下痢、便秘、腹 痛、頭痛、めまい、のぼせなど、さまざまな症状に対応しています。
  • 柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)
    女性の更年期障害、神経症、不眠症、心臓神経症などに用いられます。やせ型で血色不良、冷える、口が渇 く、動悸や息切れなどの症状があるときに有効です。
  • 四物湯(しもつとう)
    胃腸障害がない女性の更年期障害、月経不順、冷え症などに用いられます。血行をよくする効果があります 。皮膚がカサついて色つやが悪い、手足の冷え、貧血、目のかすみがある場合に選ばれます。
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
    更年期障害、貧血、月経不順などに用いられます。足腰の冷え、貧血、疲労感、血色不良、下腹部痛、頭重 感、肩こりなどがある場合に効果的です。
  • 半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
    胃腸が弱く、冷え症がある女性で、更年期障害の症状のなかでも頭痛、めまいが強い人に用いられます。そ のほか、肩こり、頭重感、吐き気、食後の手足のだるさにも有効です。
  • 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)
    女性の肥満症、関節痛、多汗症、むくみなどに用いられます。水ぶとりで色白、むくみやすく、疲れやすい 、尿量減少などの症状があるときに選ばれます
  • 抑肝散(よくかんさん)
    女性の神経症、不眠症、などに用いられます。神経が過敏で興奮しやすい、怒りっぽい、まぶた や顔の筋肉がけいれんするなどの症状がみられるときに有効です。
  • 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
    更年期障害の症状のなかでも、立ちくらみやめまいの強い人に用いられます。そのほか、動悸、のぼせ、尿 量減少などがあるときに効果があります。

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漢方薬は、自分の証に合ったものをお選び下さい。

「証」とは体力、体質、症状などから患者さんの状態を総合的に観察した診断結果のことです。

  • 実証は生理機能が高まった状態を意味して、外見は健康そうに見えます。
  • 虚証は体力がなく、生理機能が衰え、抵抗力も低下した状態を意味します。
  • 中間証は実証または虚証のどちらも偏らず、それぞれの特徴を半分ずつもつ場合を意味します 。

「証」の判定は証の自己判定テストご利用ください。


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